残業代請求の進め方 | 大阪天王寺の労働問題に精通した弁護士

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残業代 請求

残業代請求の進め方

「残業代」の概要

残業代とは、法定労働時間週40時間、又は、1日8時間を超えて働いた場合、その超えた部分について、請求することができる割増賃金のことをいいます。
残業代を請求するためには、以下の点を確認しなければなりません。

  • (1)割増賃金の基礎となる賃金
  • (2)割増賃金の率
  • (3)割増賃金の対象となる時間数、これを根拠づける資料

では、これらについて具体的に見ていきます。

(1)割増賃金の基礎となる賃金

月額の賃金を1年間における1か月平均所定労働時間数で割りだした金額となります。
給料明細をもとに確認しますが、ここでの諸手当には、家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超えるごとに支払われる賃金(賞与など)は含まれません。

月平均所定労働時間=(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12ヵ月
1時間あたりの賃金=(基本給+諸手当)÷1か月平均所定労働時間

(2)割増賃金の率

割増賃金の率については、以下のとおりです。

時間外労働 2割5分以上
休日労働 3割5分以上
深夜労働(午後10時から午前5時まで) 2割5分以上
時間外労働+深夜労働 5割以上
休日労働+深夜労働 6割以上
時間外労働が月60時間を超えた場合 5割以上

(3)割増賃金の対象となる時間数、これを根拠づける資料

従来はタイムカードによって勤務時間管理を行っている会社や、労働者各自が自己申告する会社、そもそも時間管理を行っていない会社など対応がまちまちでした。しかし、働き方改革の一環として、労働安全衛生法が改正され、2019年4月1日から、高度プロフェッショナル制度の対象者以外のすべての労働者の労働時間の把握が義務化されました。会社はタイムカードやパソコンのログインログオフ時間、管理者による現認など、原則として、客観的な記録により労働時間を確認・管理する必要があります。
2019年3月以前のものについては、客観的な労働時間記録が行われていない会社であれば、勤務シフト表、業務日報、メールや通話履歴、鉄道ICカードの通過履歴、労働者が作成した勤務時間メモなどが役に立ちます。

具体的な請求の進め方

(1)未払い残業代請求書を作成し会社に送付する

時間外労働時間を確認し未払い残業代の額が確定すれば、未払い残業代請求書を作成して会社に送付します。未払い残業代請求書には、就業期間、残業代が支払われていない期間、未払い残業代の金額とこれを請求する旨の表示、支払い方法と期限などを記載します。
なお、送付については内容証明郵便を利用します。誰が・誰に・いつ・何を求めたかという事実の証拠となるからです。労働者本人が送ることもできますが、弁護士が代理人として送付すれば、会社に対する強いプレッシャーになります。

(2)労働基準監督署(労基署)への相談・申告

未払い残業代請求書を送付しても支払いがなされない場合には、労働基準法違反として労基署に申告することができます。労基署は会社に対して改善するよう指導することもありますが、個別に「〇〇に△円の残業代を支払え」という命令を下すことはありません。

(3)労働審判

労基署への申告・指導を経てもなお残業代が支払われない場合には、労働審判の申立てを行います。申立ては証拠と申立書を提出して行います。
労働審判は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識・経験を有する労働審判員2人で組織された労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理する非公開の手続きです。適宜調停を試みて、合意が得られれば調停が成立し、得られなければ判決と同様の効力をもつ審判が下されます。

(4)通常の民事訴訟

下された労働審判の内容に納得できない場合は、2週間以内に異議を申し立てると、手続きが通常訴訟に移行します。労働審判を経ずに、初めから通常訴訟を提起することも可能です。
訴訟では、裁判官が厳格な証拠調べ手続きを踏まえて当事者双方の主張を吟味し、判決を下します。
判決が確定するとその内容に従って会社には残業代支払い義務が発生します。それでもなお支払わない場合は、強制執行手続きによって残業代を回収していくことになります。

まとめ

残業代請求については、その計算からはじまり、会社との交渉、裁判所での手続きなど、どれも専門的な知識や経験が不可欠です。迅速かつ確実な解決を望むのであれば、早い段階で労働問題に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。